化学試験

化学試験は、土の物理的性質や力学的性質と密接に関連する、土の化学的性質を把握するための試験です。近年では、その結果が地盤環境調査や環境修復等に関する調査・設計において活用されています。

pH試験

本試験は、土と水が懸濁した状態の流体としてのpH(水素イオン濃度)を測定するものであり、粒径10㎜以上の粒子を取り除いた土を対象とする。土のpHの利用は、構築されたコンクリートの劣化や鋼材の腐食、軟弱地盤の土質改良効果、植生への影響の有無などの評価に用いられる。

電気伝導率試験

本試験は、土と接した水の電気伝導率(土中の電解質の濃度)を求める試験であり、粒径10㎜以上の土粒子を取り除いた土を対象とする。土中の電解質は、海水や化学物質の混入、雨水による希釈などで変化し、植生への影響、コンクリートの劣化や鋼材の腐食、土の透水性や強度に影響する。

強熱減量試験

本試験は、土の強熱減量(土に含まれる有機物量、結合水、結晶水の水分量の目安)を得る試験である。強熱減量は有機物量と強い相関性があり、有機物の含有量によって、含水比、間隙比、pH、液性限界、塑性限界、保水性、透水性、圧縮性、強度特性などの工学的性質が変化するため、これらを把握する目安として利用される。

有機炭素含有量試験

本試験は、土の有機炭素含有量(土に含まれる有機物に由来する炭素の量を土の炉乾燥質量に対する百分率で表す)を測定する試験である。土中の有機物の量は、土のコンシステンシー特性や圧密特性、または軟弱地盤をセメントや石灰で改良する場合のセメントの水和反応やポラゾン反応に影響を与える。

放射性炭素年代測定

放射性炭素年代測定は、放射性同位体の炭素14(14C)の半減期が5730年であることを利用して、地層や地質の年代測定を行う。