斜面の安定解析

土構造物(盛土)について、盛土下部の軟弱層や盛土本体の法面付近の斜面の安定を検討するために、円弧すべり法等による解析計算を実施します。評価方法としては、すべり安全率の数値との比較が一般的です。

円弧すべり

斜面、法面のせん断破壊を検討するもので、すべり面が円弧状に発生し、土塊に作用する力の抵抗と滑動のモーメントの比較から安全率を求め、この数値によって安全性を評価する。斜面、法面のモデル化に加えて、斜面内に賦存する地下水の浸透作用や地震時の外力などを解析条件に加えるケースもある。

複合すべり

すべり面が円弧ではなく、円弧と直線などの複数の形状で構成されているものを複合すべりと言う。地層内の弱部に沿ってすべりが発生する際の任意のすべり面を設定した安全率の計算なども実施できる。

地盤強度の逆計算

地盤強度の逆計算は、すべり破壊後の対策設計に必要な地盤モデルの精度向上を目的に実施する。具体的には、すべり発生時の地盤形状(すべり円弧)を測量し、このときの安全率を1.0程度として、地盤のせん断強度を逆計算するものである。

対策工の検討

すべり破壊の安全率から、構造物に要求される許容安全率に満たない場合や、破壊後の対策設計において、すべり破壊の対策工を検討する。すべり破壊の安全率が許容値を満たすように、「抑え盛土」「地盤の強度増加」「盛土の補強」「荷重軽減」などの対策工の適用性について検討する。